商談の進捗を確認するたびに担当者へ問い合わせたり、営業報告のためにExcelを集計し直したりしていませんか。
営業管理の仕組みを選ぶ際は、情報をまとめられることに加え、現場が無理なく入力を続けられるかどうかも大切です。
kintoneは自社の営業業務に合わせて顧客・案件管理のアプリを作り、受発注や問い合わせ対応まで情報をつなげられます。
本記事では、kintoneでできることや特徴、料金・機能、サポート・セキュリティ体制に加え、業務時間を削減した導入事例を解説します。
kintoneとは?
kintone(キントーン)は、サイボウズ株式会社が提供する、自社の業務に合わせて業務アプリを作れるクラウドサービスです。プログラミングの知識がなくても顧客管理や案件管理の仕組みを作れ、SFAツール(営業支援システム)としても活用できます。
営業活動では顧客情報や商談履歴をまとめて共有し、担当者への確認や情報を探す手間を減らせます。管理する項目や業務の進め方に合わせて、利用開始後も自分たちでアプリを変更できる点が特徴です。
kintoneは有料サービスですが、30日間の無料トライアルで、自社の営業業務に合うかを確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | kintone(キントーン) |
| 提供形態 | クラウド型 |
| 主な営業支援機能 | アプリの作成・設定 顧客管理 案件・商談管理 活動履歴の共有 営業データの集計・グラフ化など |
| 利用人数・最低契約人数 | ライト:10ユーザーから スタンダード:10ユーザーから ワイド:1,000ユーザーから |
| 料金(税抜) | 初期費用:無料 ライト:月額1,000円/ユーザー スタンダード:月額1,800円/ユーザー ワイド:月額3,000円/ユーザー |
| 無料トライアル | 30日間 |
| スマホ対応 | iOS・Androidの専用アプリ スマートフォンのWebブラウザーに対応 |
| 外部連携・API | スタンダード・ワイドで対応 API(外部システムとデータをやり取りする仕組み)やプラグインによる機能拡張が可能 |
| サポート体制 | ライト:チャット・メール スタンダード・ワイド:チャット・メール・電話公式ヘルプや学習コンテンツも提供 |
※外部サービスやプラグインの利用、導入支援などには、別途費用がかかる場合があります。カスタマーサポートへの問い合わせは、原則として「cybozu.com共通管理者」が対象です。
提供元のサイボウズは、企業内の情報共有や共同作業を支えるグループウェアの開発・販売・運用を手がけています。運営会社の基本情報は、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | サイボウズ株式会社 |
| 所在地 | 東京都中央区日本橋2-7-1 東京日本橋タワー27階(東京オフィス) |
| 設立 | 1997年8月8日 |
| 事業内容 | グループウェアの開発・販売・運用 |
kintoneの特徴
kintoneは自社の営業活動に合わせて管理の仕組みを作り、受発注や問い合わせ対応にも活用範囲を広げられるサービスです。ここでは、SFAとして利用する際に押さえておきたい3つの特徴を紹介します。
営業業務に合わせて管理アプリをノーコードで作成できる
kintoneはプログラミングをせずに画面上で項目を配置し、顧客管理や案件管理のアプリを作成できます。例えば、商談金額や受注予定日、次回の対応内容など、自社の営業で確認したい情報を入力項目として設定できます。
サンプルアプリやExcel・CSVファイルを基に作り始められるため、既存の管理方法を生かして導入しやすい仕組みです。
利用開始後も、営業活動の変化に合わせて入力項目や一覧の表示方法を自分たちで変更できます。ビジトラでは現場で見つかった使いにくさを自社で改善し、営業担当者が入力を続けやすい仕組みに育てられる点が強みと考えます。
顧客・案件情報に受発注や問い合わせ対応までひも付けられる
kintoneでは顧客・案件管理に加え、受発注や問い合わせ対応のアプリを作り、共通する顧客番号や案件番号で情報をひも付けられます。例えば、顧客情報の画面に関連する注文や問い合わせ履歴を表示し、取引の経緯をまとめて確認できます。
ビジトラの見解としては商談中の情報から受注後の対応履歴までをつなぎ、顧客との取引全体を把握しやすくできる点がkintoneの強みです。営業担当者も注文や問い合わせの状況を踏まえて対応できるため、他部署への確認の手間や、事情を把握しないまま提案する行き違いの削減につながります。
さらに、スタンダード・ワイドで利用できる「検索AI」は、複数のアプリに蓄積したデータを検索し、質問への回答を生成します。過去の商談や問い合わせ対応を調べる手間を抑え、提案の準備や顧客への回答に活用できます。
基幹システムと連携して営業が使いやすい入力・確認画面をつくれる
kintoneは会計や販売管理などの基幹システムと連携し、営業担当者向けの入力・確認画面として活用できます。例えば、承認済みの見積情報を基幹システムへ渡したり、販売実績を取り込んでグラフで確認したりする仕組みを構築できます。
ビジトラでは既存の基幹システムを生かしながら、営業担当者が日常的に使う画面を業務に合わせて整えられる点が強みと考えます。営業側の入力・確認を改善しつつ、確定した情報を管理部門へ引き継ぐ仕組みを作れるため、部門間の転記作業を減らしたい企業向きです。
連携にはスタンダード以上の契約と、プラグイン・連携サービスの利用、または個別カスタマイズが必要になります。導入前に、連携先の対応状況と、受け渡せるデータ・更新のタイミングを確認しましょう。
kintoneの機能一覧
kintoneは標準機能を組み合わせて顧客管理や案件管理の仕組みを作れます。メール対応や他システムへの転記まで効率化したい場合は、オプションや外部連携の活用も選択肢です。
標準機能
kintoneの標準機能では、営業情報の登録・共有から集計、申請・承認まで対応できます。自社で管理したい情報に合わせて、アプリの項目や運用ルールを設定する仕組みです。
| 機能 | 主な内容・営業での活用例 |
|---|---|
| 業務アプリの作成 | 入力項目を画面上で配置し、顧客管理や案件管理のアプリを作成 サンプルアプリやExcel・CSVファイルからの作成にも対応 |
| データの登録・検索 | 顧客情報や商談内容を登録し、担当者・日付などの条件で絞り込み 提案資料などのファイルも添付可能 |
| 集計・グラフ化 | 登録した案件数や金額を集計し、担当者別の営業状況などをグラフで表示 |
| アプリ間の連携 | 顧客台帳の情報を案件登録時に取り込んだり、顧客に関連する商談履歴を一覧表示したりすることが可能 |
| コメント・スペース | 案件ごとの相談や指示をコメントで記録 部署やプロジェクト単位の情報共有の場も作成可能 |
| プロセス管理 | 業務の進捗や担当者、次に行う処理を設定し、申請・承認などの流れを管理 |
| 通知・リマインダー | データの更新やコメントの投稿を通知 日付を基準にした通知も設定可能 |
| アクセス権・変更履歴 | アプリ・データ・項目ごとに閲覧や編集を制限 変更した担当者や内容を確認し、変更前の状態へ戻すことも可能 |
| モバイル対応 | スマートフォンやタブレットから、外出先で顧客情報の確認や商談結果の入力が可能 |
上記は各コースで利用できる基本機能です。アプリ数などの上限は、契約コースによって異なります。
また、スタンダード・ワイドでは、アプリ作成や蓄積データの検索などを支援する「kintone AI」も利用できます。AIの利用枠はコースによって異なるため、想定する使い方に合わせて確認しましょう。
オプション機能
サイボウズが提供するオプションでは、メールの共有や社外との共同作業などに対応できます。利用できるコースや料金の仕組みが異なるため、追加したい業務に合わせた選択が必要です。
| オプション | 主な内容 | 利用条件・対象コース | 料金 |
|---|---|---|---|
| メール共有オプション | kintone上でメールを送受信し、対応状況や履歴をチームで共有 顧客情報とメール履歴をまとめて確認可能 | スタンダード・ワイド ※別途契約が必要 | 月額5,000円/5,000件 |
| ゲストユーザー | 取引先や代理店などを専用のゲストスペースに招待し、資料や進捗を共有 | 全コース ※原則としてゲストユーザーの利用料が必要 | ライト:月額700円/ユーザー スタンダード・ワイド:月額1,440円/ユーザー |
| セキュアアクセス | 接続する端末に電子証明書を入れて認証し、外出先や自宅からのアクセスに利用 | 全コース ※別途契約が必要 | 月額250円/ユーザー |
| ディスク増設 | 添付ファイルなどを保存する容量を追加 | 全コース ※別途契約が必要 | 月額1,000円/10GB |
| 連携コネクタ | Microsoft 365の主要サービスなどとのデータ連携を、プログラミングせずに設定 | kintoneではスタンダード・ワイドが対象 ※無料・有料プランあり | 月額0円/3,000ステップまで ※3,001ステップ以上では有料 |
kintoneは別途メール共有オプションを契約することで、メール共有システムとしても活用できます。顧客情報とメールの対応履歴をまとめて確認できるため、営業とサポート担当者がやり取りの経緯を共有したい場合にも役立ちます。
なお、ゲストとして招待する相手がkintoneを契約済みの場合、アカウントの共通化でゲスト利用料が無料になります。連携コネクタは、月間3,000ステップ(連携処理の単位)まで無料で利用可能です。
外部連携機能
外部サービスとの連携は、スタンダード・ワイドコースで利用できます。連携用のプラグインやサービス、API(システム間でデータをやり取りする仕組み)を使い、営業情報の転記や二重入力を減らせます。
| 連携先 | 使用するサービス例 | 主な連携内容 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 | 連携コネクタ | kintoneのデータ更新をきっかけにTeamsへ通知したり、Outlookからメールを送信したりする処理を設定 |
| Sansan | Sansan with kintone | Sansanの名刺データをkintoneへ一括登録し、登録済みの顧客情報を更新 |
| freee会計 | freee for kintone | kintoneの情報を見積・請求書の作成に反映し、取引先情報や入金情報も連携 |
| クラウドサイン | クラウドサイン連携アプリ | 契約書の送信や締結状況の管理に対応し、締結済みのPDFをkintoneに保存 |
上記は、サイボウズの公式サイトで紹介されている連携例です。
連携にはサービスごとの設定が必要で、連携先の契約や追加費用が発生する場合があります。導入前に、連携できるデータの範囲や更新方法、必要な契約プランを確認しましょう。
kintoneのサポート・セキュリティ体制
kintoneには操作に関する問い合わせ窓口や、導入・活用を支援するサービスが用意されています。顧客情報を管理する上で必要な、アクセス制限やデータ保護の仕組みも確認しておきましょう。
サポート体制
kintoneではチャット・メール・電話で操作や設定について問い合わせできます。問い合わせ窓口の利用対象は、契約中または無料お試し中の「cybozu.com共通管理者」です。
| サポート内容 | 対応範囲・利用条件 |
|---|---|
| AIチャット | 24時間365日対応 |
| 有人チャット | 月~金の10:00~12:00、13:00~17:30に対応 ※祝日・年末年始を除く |
| メール | 受付後、通常2営業日以内に回答 |
| 電話 | スタンダード・ワイドで利用可能 受付時間は有人チャットと同じ |
| 学習・自己解決用コンテンツ | 公式ヘルプや学習コンテンツ、お悩み相談ナビなどを提供 |
| パートナーによる導入・活用支援 | 業務の整理、アプリの設計・開発、運用相談、研修などに対応 内容や費用は依頼先・契約によって異なる |
ライトコースでは電話サポートを利用できないため、希望する相談方法もコース選びの判断材料になります。
自社だけで顧客管理や案件管理の仕組みを作ることに不安がある場合は、パートナーによる支援も選択肢です。アプリ作成を依頼するほか、担当者が作成方法を学びながら運用体制を整える支援も受けられます。
セキュリティ体制
kintoneでは顧客情報の閲覧・編集権限を細かく設定し、ログイン時の認証も強化できます。営業担当者や部門ごとに扱える情報を分けながら、社内でデータを共有できる仕組みです。
| 対策・機能 | 主な内容 |
|---|---|
| アクセス権の設定 | アプリ・データ・項目単位で閲覧や編集を制限 データの書き出しなどの操作権限も設定可能 |
| 2要素認証 | ログイン名とパスワードに加え、認証アプリに表示される確認コードで本人確認 |
| IPアドレス制限 | 接続元のIPアドレスを指定し、アクセスできるネットワークを制限 |
| セキュアアクセス(有償オプション) | 電子証明書を使って接続端末を認証 IPアドレス制限と組み合わせ、社外からのアクセスを管理 |
| 監査ログ | ログインやデータ削除などの操作を記録し、問題発生時の調査に活用 |
| データの暗号化 | 通信中のデータと保存データを暗号化 |
| 障害・災害への備え | サーバーや東西のデータセンターで冗長化し、障害・災害に備えたバックアップを保管 |
| 第三者評価・認証 | サイボウズは情報セキュリティ管理に関するISO/IEC 27001・27017認証を取得 kintoneは政府のセキュリティ評価制度「ISMAP」の登録対象 |
各対策は、kintoneとクラウド基盤「cybozu.com」の公式情報で確認できます。
なお、運営側が保管するバックアップは、障害や災害への備えを目的としています。利用者の誤操作によるデータ紛失を復旧する機能ではないため、必要なデータの保存方法は別途検討しましょう。
kintoneの料金
kintoneは初期費用無料で、契約コースとユーザー数に応じて利用料金が決まります。月額契約と年額契約を選べ、月額契約は1か月から利用可能です。
| 比較項目 | ライト | スタンダード | ワイド |
|---|---|---|---|
| 月額料金/ユーザー | 1,000円 | 1,800円 | 3,000円 |
| 年額料金/ユーザー | 12,000円 | 21,600円 | 36,000円 |
| 最低契約人数 | 10ユーザー | 10ユーザー | 1,000ユーザー |
| 最低契約人数での月額総額 | 10,000円 | 18,000円 | 3,000,000円 |
| 作成できるアプリ数 | 200個 | 1,000個 | 3,000個※ |
| 外部サービス連携・プラグイン | 利用不可 | 利用可能 | 利用可能 |
| 大規模利用向け専用機能 | なし | なし | あり |
※料金はすべて税抜で、月額総額は「月額単価×最低契約人数」で算出しています。ワイドのアプリ数上限は、必要に応じて相談可能です。
顧客・案件情報の管理や集計を基本機能で行う場合は、ライトが候補です。名刺管理アプリや会計ソフトなどの外部サービスとの連携、プラグインによる機能追加には、スタンダード以上が必要になります。
予算を立てる際は、基本料金に加え、必要なオプションや外部サービス、アプリ構築・導入支援の費用も確認しましょう。
kintoneの導入実績からわかること
kintoneの導入事例からは、情報の管理方法や業務の流れを見直すことで、作業時間の削減につながったことがわかります。ここでは、営業報告・情報登録・顧客対応を効率化した3社の事例から、導入効果を高めるポイントを考察します。
月次報告資料の作成を約2日から1時間未満に短縮
株式会社西武ライオンズでは、入力項目の増加や情報の分散により、kintoneに営業の進捗情報が十分に登録されていませんでした。不要な項目の削除と商談段階の判断基準の統一に加え、プラグインや外部分析ツールを組み合わせて管理環境を再構築しています。
その結果、月次報告資料の作成は約2日から1時間未満に短縮され、1人あたりの商談数も1.4倍に増加しました。
kintoneをベースにSFA/CRM領域を再構築したことで、以前は2日ほど要していた月次報告資料の作成が1時間足らずに短縮された。また、新たなメンバーでも業務に馴染みやすくなり、作業の平準化も進行。営業本来の業務に時間を割けるようになった結果、一人あたりの商談数は1.4倍に増加するなど、生産性向上という形でも成果が表れている。
引用:kintone「西武ライオンズ」
つまり、現場が入力を続けやすく、日々の記録をそのまま報告に活用できる設計が、営業活動の時間確保につながると考えられます。ビジトラでは、報告資料の作成に追われる企業ほど、入力項目を絞り、報告に必要な情報が日常業務で蓄積されるかを確認すべきと考えます。
情報登録の手間を減らして月間約300時間を削減
リゾート地への人材派遣を手がける株式会社ダイブでは、登録者からメールや電話で聞いた情報を、担当者が手作業で記録していました。kintoneを求人サイトのマイページやLINEと連携させ、登録者自身が情報を入力できる仕組みを構築しています。
2021年4月取材の公式事例では、情報登録に関わる作業を月間約300時間削減したと報告されています。
これまでメールや電話で登録者とやり取りして得た情報を手作業で記録する業務があったが、kintoneを求人サイトのマイページやLINEと連携することにより、登録者自身で情報登録が可能になり、月間300時間ほどの削減につながっているという。
引用:kintone「ダイブ」
つまり、誰がどの段階で情報を入力するかまで見直すことが、転記作業を減らす上で有効と考えられます。ビジトラでは、顧客情報の手入力が多い企業は、フォームなどからの情報収集と社内での活用をつなげられるかを、導入判断の軸にすることを勧めます。
蓄積データとAIの活用で顧客への回答作成時間を半分以下に短縮
業務用食材卸の株式会社久世では、6万件を超える問い合わせデータをkintoneに蓄積していました。kintone AIで過去の対応事例や提案内容を検索できるようにし、顧客への回答作成にかかる時間を半分以下に短縮しています。
kintone上の検索チャットでAIに質問すると、kintoneのアプリに登録されたデータから適切な回答を生成できる。この機能を利用後は、お客様への回答作成にかかる時間が半分以下になった。
引用:kintone「久世」
商品知識が少ない新人も必要な情報を取り出しやすくなり、顧客対応に活用しています。
つまり、対応履歴を蓄積し、必要な情報を探しやすくすることが、回答の迅速化や経験の浅い担当者の支援につながると考えられます。ビジトラでは、AI活用を検討する際は、過去の問い合わせと回答・提案内容をひも付けて残せる運用も、合わせて整えることが重要と考えます。