人事異動とは、組織と従業員のどちらにも影響を与える人事施策のことです。
「異動の目的がよくわからない」「どう進めればトラブルを防げるのか」と悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、人事異動の種類・目的・手順から、法律上の注意点まで詳しく説明します。
人事異動とは
人事異動とは、企業が人事権に基づき、従業員の部署・職種・勤務地・役職などを変更する人事施策です。採用・評価・配置・育成などを扱う人事管理の一環として行われるものであり、場当たり的な配置換えとは性質が異なります。組織目標と従業員の適性を照らし合わせながら実施される点が特徴です。
日本企業では、4月や10月といった期首のタイミングで実施されるケースが多く見られます。これは期首が組織体制の見直しや事業計画の改定と重なりやすく、人員配置を整える上で適切な時期だからです。
また、2024年4月には労働条件明示ルールが改正され、労働契約の締結時に「就業場所・業務の変更の範囲」を明示することが義務化されました。
将来的な異動・転勤・職務変更の可能性をあらかじめ従業員に伝えることが求められており、就業規則への根拠規定の整備も重要な対応のひとつです。
人事異動を適切に運用するには、種類や目的を正しく理解することが大切であり、次の項目から具体的な内容を確認していきましょう。
種類は企業内の異動と企業間の移動の2種類ある
人事異動は、大きく「企業内の異動」と「企業間の異動」の2種類に分けられます。
異動先は自社内か社外かによって、雇用関係や従業員への影響が大きく変わります。
以下の表では、企業内の異動と企業間の異動の種類と特徴についてまとめているのでぜひ参考にしてください。
| 種類 | 意味 | |
|---|---|---|
| 企業内 | 転勤 | 勤務地が変わる異動 |
| 昇格・降格 | 役職・等級が上がる、または下がる異動 | |
| 部署異動 | 同一企業内で所属部署が変わる異動 | |
| ジョブローテーション | 計画的に複数の部署・職種を経験させる異動 | |
| 職種変更 | 担当する職種・業務内容が変わる異動 | |
| 企業間 | 出向 | 元の会社との雇用関係を維持したまま他社で勤務する形態 |
| 転籍 | 元の会社を退職し、新たな会社と雇用契約を結び直す形態 |
※企業間の異動は主に子会社や系列企業などへ異動すること。
出向と転籍は混同されやすいですが、雇用関係の継続有無という点で性質が大きく異なります。
種類ごとに法律上の扱いや従業員への影響が違うため、目的に合わせて適切に使い分けることが求められます。
ジョブローテーションとの違い
ジョブローテーションは、人事異動の一種です。人事異動は組織全体の人事施策を指す概念であり、ジョブローテーションはその中に含まれます。
以下の表で、両者の違いを整理しました。
| 項目 | 人事異動 | ジョブローテーション |
|---|---|---|
| 位置づけ | 組織運営上の人事施策全般 | 人事異動の中に含まれる施策 |
| 主な目的 | 人材配置の最適化・組織開発など多岐にわたる | 人材育成・適性把握に特化 |
| 実施期間 | 状況に応じて異なる | 一定期間ごとに計画的に実施 |
人事異動は、組織の状況や事業計画に応じて実施されます。一方、ジョブローテーションはあらかじめ計画を立てた上で、対象者に複数の部署や職種を経験させる点が特徴です。
両者を混同したまま運用すると、従業員への説明が不十分になり、不満につながる恐れがあります。目的・期間・対象者の違いを踏まえて、適切に使い分けることが大切です。
人事異動の目的
人事異動は、配置換えにとどまらず、組織と従業員の成長を支える重要な人事施策です。目的を正しく理解した上で実施すると、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
人事異動が持つ主な目的は、以下の5つです。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
タレントマネジメント
人事異動はタレントマネジメントの一環として実施すると、高い効果が期待できます。
タレントマネジメントとは、従業員のスキル・経験・評価・キャリア志向などを一元管理し、適材適所の配置と育成を実現するマネジメント手法です。
人材データをもとに異動先を判断すると、従業員が能力を発揮しやすいポジションへ配置できます。
スキル・評価実績・キャリア志向・育成履歴などを組み合わせて分析すると、納得感のある異動を実現できます。
感覚や経験則だけに頼った配置では、組織全体の力を引き出すことは難しいため、人材管理の情報が整理をしておきましょう。
組織開発
人事異動は、組織全体を活性化させる手段として実施されることもあります。異動によって人材交流が生まれ、部署間の連携強化や新しい価値観の流入が促されるからです。
特定の部署に知識や権限が集中すると、業務が特定の担当者に依存する「属人化」が起こりやすくなります。
属人化が進むと、担当者が異動・退職した際に業務が停滞するリスクが生じます。部門間の分断にもつながりかねないため、早めの対策が求められます。
また、人事異動によって異なる部署の人材が交流すると、各部署の課題を多角的な視点で捉えられるようになります。他部署での経験を持つ人材が加わることで、固定化した思考や慣習が見直されます。
組織の硬直化を防ぐ上でも、計画的な人事異動は有効な施策です。
人材配置の最適化
組織の人材配置を最適化するために人事異動が行われることもあります。
従業員の能力・経験・適性を踏まえ、成果を出しやすい部署や役割に配置することで、組織全体のパフォーマンスが向上するからです。
人員不足の部署を補充するだけでは、スキルと業務内容のミスマッチが生じる恐れがあります。ミスマッチが続くと、従業員のモチベーション低下や離職につながりかねません。
人材配置を最適化するには、以下の情報をもとに判断しましょう。
- 従業員のスキル・資格
- 過去の評価や実績
- 現在の業務負荷
- 本人のキャリア希望
- 部署ごとの人員状況
上記の情報を組み合わせて検討すると、組織と従業員の双方が納得しやすい配置を実現できます。
感覚や経験だけに頼らず、客観的なデータをもとに適材適所の配置を進めることが、組織力の底上げにつながります。
組織の健全性を維持
人事異動には、組織の健全性を維持する目的があります。同じメンバーが同じポジションに長く留まると、業務の属人化が進むだけでなく、不正行為の温床になる恐れがあるからです。
閉鎖的な人間関係が固定化されることで、問題が表面化しにくい環境が生まれてしまいます。放置すると、組織全体の信頼性や健全性に影響を及ぼしかねません。
定期的な人事異動によって人材を入れ替えることで、業務の透明性が高まります。
新しい視点を持つ人材が加わることで、見過ごされていた課題や非効率な慣習が見直されるきっかけにもなるでしょう。組織リスクを抑えるうえでも、定期的な異動は有効な手段です。
マンネリ化の防止
人事異動には、組織と従業員双方のマンネリ化を防ぐ目的があります。同じ部署や業務を長く担当し続けると、成長機会が減り、新しい発想も生まれにくくなるからです。
慣れが行き過ぎると現状維持の意識が強まり、改善への意欲や挑戦する姿勢が薄れていく傾向があります。
組織全体にその状態が広がると、競争力の低下にもつながりかねません。人事異動によって新しい業務・人間関係・役割を経験すると、従業員は成長の機会を得られます。
環境が変わることで視野が広がり、異なる視点で仕事に向き合えるようになるでしょう。従業員の意欲を高め、組織に新たな活力をもたらす上でも、適切なタイミングでの異動は効果的な手段です。
人事異動のデメリット
人事異動は組織にとって有益な施策ですが、運用を誤るとデメリットが生じることもあります。
主なデメリットは、以下の2つです。
- 生産性が一時的に下がる可能性がある
- 従業員の離職につながる可能性がある
メリットだけに目を向けず、起こりうるリスクを事前に把握したうえで実施しましょう。
生産性が一時的に下がる可能性がある
人事異動の直後は、異動先・異動元・異動する本人の三者に業務負荷が生じ、一時的に生産性が下がる可能性があります。
新しい環境への適応や引き継ぎには、相応の時間とコストがかかるからです。
以下の表では、それぞれの立場への影響をまとめました。
| 影響を受ける側 | 各立場への影響 |
|---|---|
| 異動先 | 教育・指導担当者の業務負荷が増加する |
| 異動元 | 引き継ぎ対応や人員補填に時間が発生する |
| 異動する本人 | 業務や環境に慣れるまで生産性が低下しやすい |
異動する本人の経験やスキルによっては、業務に慣れるまでに相当な期間を要する場合もあります。
組織全体への影響を最小限に抑えるには、異動のタイミングや引き継ぎ体制を事前に整えておくことが重要です。
従業員の離職につながる可能性がある
納得感のない人事異動は、従業員の離職リスクを高める可能性があります。
勤務地の変更は生活環境に直接影響し、職種の変更はこれまで積み上げてきたキャリアの方向性を大きく左右するからです。
異動によって生じる影響が大きいほど、従業員が感じる負担も増えやすくなります。
離職リスクを抑えるには、以下の対応が重要です。
- 異動理由を丁寧に説明する
- 事前面談で本人の意向や状況を確認する
- 異動後も定期的にフォローアップを行う
上記の対応によって、従業員が異動の目的や意図を理解し、納得した上で新しい環境に臨める状態を整えやすいです。会社と従業員の間に信頼関係を築くことが、離職防止の観点からも重要です。
人事異動の手順
人事異動は、正しい手順を踏んで進めることで、組織と従業員の双方に納得感のある結果をもたらします。場当たり的な実施はトラブルの原因になりかねないため、手順を守って進めることが大切です。
スムーズな異動を実現するための5つの手順を、順番に確認していきましょう。
組織の状況を調査
人事異動を実施する前に、まず組織全体の状況を正確に把握することが重要です。なぜなら、部署ごとの人員数・業務負荷・欠員状況・スキルの偏りを確認しなければ、適切な異動の判断ができないからです。
人事データをExcelやペーパーベースで管理している場合は、情報の更新が遅れやすくなります。実態と異なるデータをもとに判断を下すリスクがあり、配置ミスや現場の混乱につながりかねません。
近年は、従業員のスキル・評価履歴・キャリア情報などを一元管理できるタレントマネジメントシステムの導入が増えています。リアルタイムで組織の状況を可視化できるため、異動の検討に必要な情報を素早く収集できます。
組織の現状を正確に把握することが、人事異動を成功させる出発点となるでしょう。
異動候補者を選定
異動候補者の選定は、スキル・評価・経験・本人希望・育成方針を総合的に踏まえて行うことが重要です。上司の印象や勤続年数だけを根拠に決めると、配置ミスマッチや従業員の不公平感につながる恐れがあるからです。
さらに、「なぜ自分が選ばれたのか」という不信感を生む原因にもなりかねません。根拠のある選定プロセスを経ることが、従業員の納得感を高める上で大切です。
具体的には、組織が抱える課題や人員ニーズと、従業員一人ひとりの情報を照らし合わせながら候補者を絞り込みます。
評価履歴やスキルデータ、本人のキャリア希望などを組み合わせて検討すると、組織と従業員の双方にとって合理的な選定が可能になります。
従業員から異動の同意を得る
人事異動を進める際は、従業員への十分な説明と、納得した上で異動に臨める環境づくりが求められます。職種や勤務地が限定された雇用契約の場合は、その範囲を超える異動には従業員の同意が必要になるからです。
転籍は元の会社との労働契約が終了するため、本人の同意なく命じることはできません。
説明が不十分なまま異動を進めると、従業員の不信感やトラブルに発展する恐れがあります。異動命令が権利の濫用と判断されれば、無効となる可能性もあります。
納得感を高めるには、以下の内容を従業員に明確に伝えることが大切です。
- 異動の理由と背景
- 異動先の業務内容
- 異動の時期
- 待遇への影響
従業員が疑問や不安を解消できる面談の場を設けることで、会社と従業員の間に信頼関係が生まれます。円滑な異動を実現する上でも、コミュニケーションは欠かせない対応のひとつです。
内示を伝える
内示とは、正式な辞令や社内発表の前に、異動対象者へ事前に内容を伝えることです。内示は対象者が心理的・業務的な準備を整える上で、大切な手続きです。
異動先・時期・役割・引き継ぎ内容が曖昧なまま伝えると、対象者の不安や混乱を招く恐れがあります。さらに、準備期間が十分に取れないまま異動日を迎えると、業務の引き継ぎが不完全になります。
現場への影響も大きくなるため、早めに内示を行うことが望ましいでしょう。
内示を伝える際は、対象者が具体的な行動を取れるよう、以下の内容を明確に説明することが求められます。
- 異動先・異動時期
- 担当業務
- 引き継ぎの範囲
内示は正式発表前の情報であるため、情報漏えいや共有範囲への配慮も必要です。対象者が納得感を持ち、準備を整えて新しい環境に臨めるよう、誠実なコミュニケーションを心がけることが大切です。
異動後は定期的なフォロー
異動後は、対象者の状況を定期的に確認するフォローが求められます。異動直後は業務環境や人間関係が大きく変わるため、本人が不安を抱えやすい時期だからです。
フォローが不十分なまま放置すると、ミスマッチや孤立感が深まり、早期離職につながる恐れがあります。適切な手順で異動を進めても、その後のケアが欠けていては十分な効果が得られません。
定期的な面談や上司からの声かけによって、業務への適応状況・人間関係・負担の大きさを早期に把握できます。
課題が見つかった場合は、業務量の調整やサポート体制の見直しなど、速やかに対応できる環境を整えておくことが大切です。異動後のフォローを継続的に行うことが、従業員の定着と組織の安定につながるでしょう。
拒否できない人事異動が無効になるケース
人事異動は、就業規則や雇用契約で定められた人事権の範囲内であれば、原則として従業員は拒否できません。ただし、内容によっては無効と判断されるケースがあります。
以下に、無効になる可能性があるケースをまとめました。
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 業務上の必要性がない | 組織上の合理的な理由がなく、異動の正当性が認められない |
| 嫌がらせ目的 | 報復や退職強要など、不当な動機・目的による異動 |
| 雇用契約に反する | 職種・勤務地が限定された契約に反する異動 |
| 生活への不利益が大きい | 介護や育児など、通常甘受すべき程度を超える不利益を与える異動 |
異動を命じる際は、業務上の必要性と従業員への影響を十分に検討することが求められます。
人事異動がトラブルに発展するケース
人事異動は、運用を誤るとトラブルに発展する場合があります。内容や目的によっては、パワハラや人事権の濫用、法律違反と判断される恐れもあります。
どのようなケースが問題になるのか、3つの観点から確認していきましょう。
パワハラに該当
人事異動の内容や目的によっては、パワハラに該当する可能性があります。
厚生労働省のパワハラ防止指針には、以下のように記載されています。
職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。
引用:厚生労働省「パワハラ防止指針」
つまり、業務上の合理的な理由がなく、従業員の就業環境を著しく損なう異動命令は、パワハラと判断される可能性があります。
パワハラに該当する可能性がある人事異動には、次のようなケースが挙げられます。
- 退職に追い込む目的で異動させる
- 本人の能力や経験と明らかに合わない業務へ配置する
- 懲罰目的で不利益な部署へ異動させる
- 育児・介護・健康状態を無視して遠方へ異動させる
- 本人を孤立させる目的で配置転換する
業務上の必要性がなく、嫌がらせや人格否定の意図が認められる異動は、パワハラと判断されるリスクが高まります。異動を命じる際は、目的と必要性を明確にした上で進めましょう。
人事権の濫用
人事異動には企業の裁量が認められていますが、その行使には法律上の限界があります。
労働契約法第3条5項では、以下のように定められています。
労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
引用:労働契約法「労働契約法第3条5項」
つまり、労働契約に基づく権利の行使において濫用があってはならないと定められており、人事権も例外ではありません。
最高裁判所の判例では、人事権の濫用として無効になるケースが以下のように示されています。
- 業務上の必要性がない場合
- 不当な動機・目的がある場合
- 従業員に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合
具体的には、退職勧奨を断った従業員への報復異動や、対象者の選定理由が不明確な異動が濫用に該当する可能性があります。
育児・介護といった本人の事情への配慮を欠いた判断も、濫用と見なされるリスクが高まります。異動を命じる際は、目的の正当性と従業員への影響を十分に検討しましょう。
法律に抵触
人事異動は、関連する法律の範囲内で行わなければいけません。
内容によっては複数の法律に抵触し、異動命令が無効となるだけでなく、企業としての法的責任を問われる恐れがあります。
人事異動に関係する主な法律は、以下の4つです。それぞれの内容を確認していきましょう。
① 性別による差別の禁止(男女雇用機会均等法 第6条)
男女雇用機会均等法第6条では、以下のように定められています。
事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
引用:厚生労働省「配置・昇進・降格・教育訓練等についての性別を理由とする差別の禁止(第6条)」
つまり、配置・昇進・降格・職種変更などの人事異動において、男性だから、女性だからという理由で取扱いを変えることは認められません。人事異動の判断基準には、細心の注意が求められます。
② 出向命令権の濫用の禁止(労働契約法 第14条)
労働契約法第14条では、以下のように定められています。
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。
引用:厚生労働省「第3章 労働契約の継続及び終了」
つまり、出向命令がその必要性や対象者の選定事情などに照らして権利の濫用と認められる場合は、命令そのものが無効となります。
出向を命じる際は、本当に出向させる必要性があるか、対象者の選定が適切かどうかを慎重に判断しなければいけません。
③ 育児・介護に対する配慮義務(育児・介護休業法 第26条)
育児・介護休業法第26条では、以下のように定められています。
事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。
引用:厚生労働省「転勤に関連する法令等」
つまり、転勤命令を下す前に、対象者の育児・介護の状況を十分に確認し、配慮することが事業主に義務付けられています。配慮を欠いたまま転勤を命じると、法律違反と判断される恐れがあります。
④ 公益通報者への不利益取扱いの禁止(公益通報者保護法 第5条)
公益通報者保護法第5条では、以下のように定められています。
事業主は、公益通報者が公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して、降格、減給その他不利益な取扱いをしてはならない。
引用:公益通報者保護法「第5条」
つまり、公益通報を行った従業員への報復目的の異動は、法律上の違反となります。通報者を守る環境づくりは、企業のコンプライアンス上も重要な取り組みといえるでしょう。
以上のように、人事異動は複数の法律と密接に関わっています。異動を命じる前に、対象者の状況と関係法令を確認することが求められます。


