毎年の年末調整業務に頭を悩ませる人事・総務担当者は多いものです。
紙の申告書の配布や回収、記入漏れの確認、提出状況の管理など、煩雑な作業に追われる毎年12月。そんな業務負担を軽減できる年末調整システムの導入を検討したいものの、予算の制約があってなかなか踏み切れないというのが現状ではないでしょうか。
実は、初期費用も月額費用も0円で利用できる年末調整システムや、無料トライアル期間中に十分な機能を試せるサービスが数多く存在します。
近年、年末調整はペーパーレス化が進んでおり、国税庁も電子化のメリットを公表しています。
従業員は、これまでの手書きによる手続（年末調整申告書の記入、控除額の計算など）を省略でき、年末調整申告書の作成を簡素化できます。
出典：国税庁 年末調整手続の電子化の概要・メリット
また、書面で提供を受けた控除証明書等を紛失した場合は、保険会社等に対し、再発行を依頼しなければなりませんでしたが、その手間も不要となります。
そこで本記事では、完全無料で利用できるHRMOS年末調整をはじめ、30日間の無料トライアルが付いたオフィスステーション、国税庁が提供する年調ソフトなど、コストを抑えながら年末調整業務の効率化を実現できるシステムを15個厳選してご紹介します。
システムの特徴や機能の違い、導入に適した企業規模、実際の活用事例なども詳しく解説していますので、自社に最適な年末調整システムを見つけるための判断材料としてご活用ください。
目次
【比較表】無料で使える年末調整システム15選
| サービス名 | フリーウェイ給与計算 | ハーモス年末調整 | ジョブカン給与計算 | マネーフォワード クラウド年末調整 | Edge Tracker 年末調整申告 | 奉行edge 年末調整申告書クラウド | 弥生給与Next | ロウムメイト Powered by カオナビ | SmartHR | HRBrain 労務管理 | freee人事労務 | オフィスステーション 年末調整 | ジンジャー給与 | タレントパレット | KING OF TIME 給与 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 無料プランの有無 | あり | あり | あり | 無料デモのみ | 無料デモあり | なし | 初年度のみ無料 | 無料デモのみ | 無料デモのみ | 無料デモのみ | 無料デモのみ | 無料デモのみ | 無料デモのみ | 無料デモのみ | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 | 0円 | 要問合せ | 0円 | 0円 | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | 0円 | 110,000円（税込） | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ |
| 月額費用 | 無料（永久無料） | 無料 | 0円～ | 5名まで無料、6名以上100円/人（税抜） | 要問合せ | 900円（20名まで） | プランにより異なる（要問合せ） | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | 2,000円～（税別） | 年額550円/人（税込） | 300円～/人 | 要問合せ | 要問合せ |
【無料プランあり】年末調整システムおすすめ3選
フリーウェイ 給与計算
出典：https://freeway-kyuuyo.net/
フリーウェイ給与計算は、クラウド型の給与計算・年末調整システムで、従業員5人までなら永久無料で利用できます。シンプルな画面構成で初心者でも簡単に設定でき、法改正や社会保険料率の改定にも自動で対応するため、常に最新の状態で給与計算が可能です。
給与明細のメール配信や全銀データ出力にも対応し、年末調整時には従業員がWebフォームから控除申告書を提出できる機能も搭載。源泉徴収票の作成や従業員へのメール配信も可能で、テレワーク環境にも最適なペーパーレス対応システムです1。2024年からの定額減税にも対応しており、小規模企業の給与計算業務を効率的にサポートします。
| サービス名 | フリーウェイ給与計算 |
| 無料プランの条件 | 従業員5人まで、1社のみ登録可能 |
| 初期費用 | 無料 |
| 月額費用 | 無料（永久無料） |
ハーモス年末調整
出典：https://hrmos.co/kintai/nencho/
ハーモス年末調整は、年末調整業務のペーパーレス化を実現するクラウド型システムです。従業員は質問に答えていくだけで必要な申告書類が自動作成され、スマートフォンやタブレットからも手軽に入力できます。
申告書の配布から回収、保管までをオンラインで完結でき、担当者の業務時間を大幅に削減。提出状況の一覧管理や修正依頼のやり取りもスムーズに行えます。
給与計算システムとのCSV連携にも対応しており、様々な給与ソフトとデータ連携が可能。企業規模に関係なく無料で導入できるため、年末調整のデジタル化を検討している企業に最適なソリューションとなっています。
| サービス名 | ハーモス年末調整 |
| 無料プランの条件 | 従業員30人以下 |
| 初期費用 | 無料 |
| 月額費用 | 無料 |
ジョブカン給与計算
出典：https://payroll.jobcan.ne.jp/
社労士監修のもと開発されたジョブカン給与計算は、給与計算担当者の声を反映した実践的なクラウドシステムです。勤怠情報や従業員情報など、給与計算に必要なデータを他のジョブカンシリーズから自動で取り込むことができ、面倒な手作業から解放されます。
複雑な給与規定にも対応し、残業代や手当のルールを無制限に設定可能。源泉徴収票や給与明細のWeb配布にも対応しており、スマートフォンからいつでも確認できるため、ペーパーレス化も実現。途中入社や退職などのイレギュラーな処理も、ToDoリストやリマインド機能でミスなく処理できる便利な機能を搭載しています1。
| サービス名 | ジョブカン給与計算 |
| 無料プランの条件 | 30日間の無料トライアル 無料プラン：5名まで |
| 初期費用 | 無料 |
| 月額費用 | 0円～ |
【無料トライアル・無料デモあり】年末調整システムおすすめ12選
マネーフォワード クラウド年末調整
出典：https://biz.moneyforward.com/tax-adjustment/
マネーフォワード クラウド年末調整は、アンケート形式で申告書類を作成できる年末調整システムです。従業員は質問に答えていくだけで必要書類が完成し、入力後は帳票形式で内容を確認できるため、年末調整の知識がなくても安心です。
また、管理者は進捗状況をリアルタイムで把握でき、給与データの取り込みで年税額を自動計算することも可能。メールやチャットでのサポートも充実しているため、初めて電子化に取り組む企業でも導入しやすい点が特徴です。
他社の給与計算ソフトを使用している場合でも、年末調整業務単体での利用が可能なため、既存のシステムを変更する必要がありません。
| サービス名 | マネーフォワード クラウド年末調整 |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 5名まで無料、6名以上100円/人（税抜） |
Edge Tracker 年末調整申告
出典：https://www.mjs.co.jp/products/edgetracker/
Edge Tracker 年末調整申告は、PCやスマートフォンから各種申告書を作成できるクラウド型システムです。従業員は手書きの煩わしさから解放され、いつでもどこでも申告作業が可能。管理者側も申告書の配布や回収の手間が大幅に削減されるため、年末の業務効率が格段に向上します。
MJSの財務会計システムと連携することで、社員情報や部門情報などのマスタ管理も一括で行え、データ連携もリアルタイムに実施されます。必要に応じてPCからの用紙出力にも対応しており、従来の紙での運用から電子化への段階的な移行も実現できます。導入後は充実したサポート体制で安心して利用を開始できる点も特徴的です。
| サービス名 | Edge Tracker 年末調整申告 |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 要問合せ |
奉行edge 年末調整申告書クラウド
出典：https://www.obc.co.jp/bugyo-edge/adjustment
奉行edge 年末調整申告書クラウドは、年末調整業務を完全デジタル化し、業務時間を最大70%削減できるシステムです。従業員はスマートフォンやPCから申告書を作成でき、前年度の申告内容が自動で反映されるため、入力の手間が大幅に軽減されます。
管理者側も申告書の配付・回収から給与システムへの入力まで、すべての作業をペーパーレスで完結できるため、業務効率が格段に向上します。マイナポータル連携により保険料控除や住宅ローン控除の証明書データを自動取り込みできるほか、給与システムとのデータ連携で入力作業も不要です。
9,300社以上の導入実績に基づいた運用ノウハウを活かし、様々な企業規模や運用形態に対応した柔軟な導入が可能な点も魅力です1。
| サービス名 | 奉行edge 年末調整申告書クラウド |
| 無料トライアル期間 | 7日間 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 900円（20名まで） |
弥生給与Next
出典：https://www.yayoi-kk.co.jp/kyuyo/kyuyo-next/
弥生給与Nextは、給与計算から年末調整まで一気通貫で対応できるクラウド型システムです。従業員の勤怠情報を入力するだけで給与が自動計算され、保険料率の改定にも自動で対応するため、給与計算の手間が大幅に削減できます。
年末調整では法定調書の作成がスムーズで、源泉徴収票は従業員のスマートフォンやPCへ直接配付が可能。給与明細や控除申告書の受け渡しもオンラインで完結するため、書類の保管コストを抑えられます。
給与データは全銀協フォーマットでの出力に対応しており、振込作業も効率化できる点が特徴です。弥生会計との連携により、給与・賞与支払いの仕訳も自動化できるため、経理業務の負担も軽減できます。
| サービス名 | 弥生給与Next |
| 無料トライアル期間 | 1年間無料 |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | プランにより異なる（要問合せ） |
ロウムメイト Powered by カオナビ
ロウムメイトは、カオナビが提供する人事労務のクラウドサービスで、年末調整をはじめとする煩雑な労務手続きをデジタル化できるシステムです。従業員は直感的なUIで簡単に申告書を作成でき、スマートフォンからでもスムーズに入力作業が行えます。
マイナポータル連携により、保険料控除証明書などの各種データを自動取込できるため、入力ミスを防ぎながら作業時間を短縮できます。管理者側は従業員の申告状況をリアルタイムで確認でき、必要に応じて個別にリマインドを送ることも可能。人事データベースとの連携により、基本情報の入力も省略できるため、年末の業務負荷を大幅に軽減できます。
| サービス名 | ロウムメイト Powered by カオナビ |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 要問合せ |
SmartHR
SmartHRは、60,000社以上が導入する国内シェアNo.1のクラウド型人事労務システムです。年末調整をはじめとする人事労務業務を、従業員データベースを基盤として一元管理できます。従業員は直感的な操作で各種申請や手続きを行え、人事担当者との円滑なやり取りを実現できる設計になっています。
バックオフィス業務の効率化により、本来の業務に集中できる環境を整備し、組織全体のパフォーマンス向上に貢献できます。人事・労務担当者の負担を軽減しながら、従業員データの活用による戦略的な人事施策の推進も可能です。導入時には状況に応じた充実したサポート体制も用意されているため、スムーズな運用開始が期待できます。
| サービス名 | SmartHR |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 要問合せ |
HRBrain 労務管理
出典：https://www.hrbrain.jp/procedures
HRBrain 労務管理は、人事・労務業務をクラウド上で一元管理できる包括的なシステムです。直感的な操作性により、初めてシステムを導入する企業でもスムーズに運用を開始できます。既存の人事システムとのデータ連携にも対応しており、組織ごとの課題に合わせたカスタマイズが可能な点が特徴です。
年末調整をはじめとする各種申請手続きをオンライン化することで、書類作成や提出の手間を大幅に削減できます。ITreviewの顧客満足度で高評価を獲得しており、初期設定から運用支援まで手厚いサポート体制も整っています。さらに、AIチャットボットによる従業員からの問い合わせ対応など、先進的な機能も備えているため、人事部門の業務効率化に大きく貢献できます。
| サービス名 | HRBrain 労務管理 |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 要問合せ |
freee人事労務
出典：https://www.freee.co.jp/hr/
freee人事労務は、5日かかっていた業務をたった1日で完了できる効率的な人事労務システムです。タイムカードの手作業による集計や給与ソフトへの転記作業を完全に自動化し、人的ミスを防ぎながら作業時間を大幅に削減できます。
勤怠管理から給与計算、年末調整まで一気通貫でデータを連携させることで、書類作成や提出の手間を省けます。アラート機能により必要な業務を可視化し、突発的な作業にも迅速に対応可能です。導入後は専任担当者による継続的なサポートや、チャット・電話でのヘルプデスクも利用できるため、ITに不慣れな企業でも安心して運用を開始できます。
| サービス名 | freee人事労務 |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 2,000円～（税別） |
オフィスステーション 年末調整
出典：https://www.officestation.jp/nencho/
オフィスステーション 年末調整は、45,000社以上の導入実績を持つ人気の年末調整システムです。従業員は「はい」「いいえ」の簡単な質問に答えるだけで申告書が完成し、控除額も自動で算出されるため、入力ミスを防げます。AI-OCR機能により、控除証明書の画像をアップロードするだけで必要項目が自動入力される点も特徴的です。
さまざまな給与システムとのデータ連携に対応しており、税制改正や様式変更にも自動で対応するため、システム管理の手間も最小限に抑えられます。必要な機能だけを選んで導入できる「アラカルト型」を採用しているため、無駄なコストを抑えながら年末調整業務の効率化を実現できます。
| サービス名 | オフィスステーション 年末調整 |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 110,000円（税込） |
| 月額費用 | 年額550円/人（税込） |
ジンジャー給与
出典：https://hcm-jinjer.com/payroll/
怠情報を組み込んだ計算式により、複雑な手当や控除額を自動で算出できるため、人為的ミスを最小限に抑えられます。従業員はスマートフォンで給与明細を確認でき、印刷や封入作業も不要なため、管理者の負担を大幅に軽減できます。
年末調整では、従業員情報と1年間の給与データをもとに計算から帳票作成まで自動化が可能です。勤怠システムや社会保険手続きとの連携により、データの二重入力を防ぎながら業務を効率化できる点も特徴的です。初期設定から運用まで専門スタッフによるサポートも充実しています。
| サービス名 | ジンジャー給与 |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 300円～/人 |
タレントパレット
出典：https://www.pa-consul.co.jp/talentpalette/
タレントパレットは、人事データを一元管理し、科学的な人事戦略を実現する包括的なタレントマネジメントシステムです。人材データの収集から分析、活用まで一気通貫で管理でき、経営判断に必要な情報をリアルタイムで把握できます。
人事評価やエンゲージメント測定、離職予兆の検知など、多角的な視点で組織状態をモニタリングすることが可能です。独自のテキストマイニング技術を活用した分析機能により、的確な人材配置や育成計画の立案をサポートします。99.6%という高い継続率が示すように、専任担当者による手厚いサポート体制も整っているため、導入後の運用もスムーズに進められます。
| サービス名 | タレントパレット |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 要問合せ |
KING OF TIME 給与
出典：https://www.kingoftime.jp/function/payroll/
ステムです。AI-OCR機能により保険料控除証明書の画像から自動で文字を読み取り、データ化することができます。マイナポータルからダウンロードした電子的控除証明書にも対応しており、アップロードするだけで申告書が作成できる仕組みです。
従業員への提出依頼リマインドも自動化されているため、管理者の手間を最小限に抑えられます。扶養控除申告書や住宅借入金等特別控除申告書など、各種申告書に幅広く対応し、年末調整業務を効率的に進められる点が特徴です。さらに、勤怠管理システムとの連携により、給与計算までの一連の作業をスムーズに完結できます。
| サービス名 | KING OF TIME 給与 |
| 無料トライアル期間 | 無料デモのみ |
| 初期費用 | 要問合せ |
| 月額費用 | 要問合せ |
年末調整システムの選び方｜比較したい5つのポイント
- 誰でも使いやすいか
- 費用対効果を見込めるか
- 年末調整に特化／多機能のどちらか
- 連携できるシステムは何か
- セキュリティ対策は万全か
誰でも使いやすいか
年末調整システムを選ぶ際は、従業員全員が迷わず使えるインターフェースかどうかが重要なポイントです。システムが複雑すると、従業員からの問い合わせが増え、かえって労務担当者の負担が増えてしまいます。
特に注目したいのは、質問形式での入力機能の有無です。従業員は「はい」「いいえ」で回答するだけで申告書が作成できる仕組みなら、年末調整の知識がなくても手続きを進められます。
また、入力項目ごとにヒントテキストが表示される機能も、記入ミスの防止に役立ちます。スマートフォンやタブレットからの入力に対応しているかも確認しましょう。
普段使い慣れた端末で手続きができれば、従業員の心理的なハードルも下がります。前年のデータを自動で引き継げる機能があれば、毎年の入力の手間も大幅に削減できるでしょう。
費用対効果を見込めるか
年末調整システムの導入には、初期費用や月額費用、従業員1人あたりの利用料金など、さまざまなコストがかかります。無料プランや無料トライアルを活用することで、まずは実際の使い勝手を確認しながら、自社に最適なシステムを見極めることができます。
特に中小企業では、従業員数に応じた従量課金制のほうが月額固定制よりも費用対効果が高くなるケースも。導入前に「業務効率化によってどの程度の工数削減が見込めるか」「人件費をどれだけ抑えられるか」といった具体的な数値目標を設定しましょう。
また、紙の申告書の印刷費用や保管スペースの削減、人的ミスによる修正作業の減少なども、コスト削減効果として考慮に入れる必要があります。システムによっては給与計算ソフトとの連携機能も備えており、データ入力の二重化を防ぐことでさらなる効率化も期待できます。
年末調整に特化／多機能のどちらか
年末調整システムには、年末調整業務に特化したタイプと、給与計算や労務管理まで含めた多機能タイプの2種類があります。
年末調整特化型は、申告書の作成から提出、チェック、修正まで、年末調整業務に必要な機能を集約したシステムです。既存の給与計算システムを活用しながら、コストを抑えて導入できるのが特徴です。
一方、多機能タイプは人事・労務管理から給与計算まで幅広い機能を備えています。各機能間でデータを連携できるため、入力の手間を省き、ミスを防ぐことができます。ただし、機能が豊富な分、導入コストは特化型と比べて高くなる傾向にあります。
自社の状況に応じて、年末調整業務のみを効率化したいのか、それとも人事労務業務全般のデジタル化を進めたいのか、目的を明確にしてタイプを選択することが重要でしょう。既存システムの活用状況や予算も考慮に入れながら、最適なシステムを選びましょう。
連携できるシステムは何か
年末調整システムを選ぶ際、他のバックオフィスシステムとの連携は業務効率化の鍵となります。多くのシステムでは、マネーフォワードやfreeeなどの会計ソフトとの連携が可能で、給与データや従業員情報を自動で取り込めます。
特に給与計算システムとの連携は重要なポイントです。APIやCSV形式でのデータ連携に対応していれば、毎月の給与データを活用して年末調整の計算を自動化できるでしょう。また、人事労務システムと連携することで、扶養情報や住所などの基本情報も効率的に反映できます
システム選びでは、自社が現在利用している各種システムとの相性を確認することがカギとなります。特に、マイナンバー管理システムや勤怠管理ソフトなどとスムーズに連携できるかどうかは、導入後の運用効率に大きく影響するため、事前の確認が欠かせません。
セキュリティ対策は万全か
年末調整システムでは、従業員の所得情報や扶養家族の個人情報など、機密性の高いデータを扱います。そのため、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクに備えた堅牢なセキュリティ対策が不可欠です。システム選定時には、ISMS認証やプライバシーマークなどの第三者認証の取得状況を確認しましょう。
また、データの暗号化機能や、アクセス権限の設定、操作ログの記録など、具体的なセキュリティ機能の実装状況もチェックが必要です。クラウド型のシステムを検討する場合は、データセンターのセキュリティレベルや、バックアップ体制についても入念に確認することをおすすめします。
万が一の事態に備えて、情報漏洩保険への加入状況や、インシデント発生時の対応体制が整備されているかどうかも重要な判断材料となります。セキュリティ対策は、従業員の個人情報を預かる企業としての責任を果たすために、妥協できないポイントといえるでしょう。
無料の年末調整システムに関するよくある質問
- 国税庁の無料で使える年末調整ソフトとは？
- 年末調整システムはエクセルなら無料？
- 年末調整計算が無料でできるアプリはある？
- 国税庁の無料で使える年末調整ソフトとは？
- 国税庁が提供する「年調ソフト」は、年末調整の手続きを電子化して効率的に進められる無料のアプリケーションです。従業員はスマートフォンやパソコンからアプリをダウンロードし、画面の案内に従って必要事項を入力するだけで、控除申告書を簡単に作成できます。
控除額の計算や扶養親族の年齢判定、控除対象の判定なども自動で行われるため、手作業での煩雑な計算は不要になりました。さらに、マイナポータルと連携することで、保険料控除証明書などの必要書類を一括でデータ取得し、申告書に自動入力することも可能。
前年度の情報を引き継ぐ機能も搭載されているため、2回目以降の申告では基本情報の再入力が省略できるのが特徴です。ただし、このソフトは申告書の作成に特化しており、年税額の計算機能は備えていないため、最終的な税額計算は会社側で行う必要があります。
- 年末調整システムはエクセルなら無料？
- 国税庁が提供している「年末調整計算シート」を利用すれば、Excelで年末調整の税額計算を無料で行うことができます。このシートは給与の総額や控除対象扶養親族の人数などを入力するだけで、効率的に計算を進められる仕組みになっています。
ただし、このExcelシートは税額計算に特化したツールであり、申告書の作成や提出状況の管理などの機能は備えていません。また、従業員ごとに個別で入力・管理する必要があるため、大人数の従業員を抱える企業での利用には向いていないでしょう。
専用の年末調整システムと比べると機能面で劣る部分はありますが、少人数の企業や個人事業主であれば、無料のExcelシートで十分に対応できます。ただし、利用の際はファイルの種類（拡張子「.xlsm」）を変更せず、セルのコピーなども控えるよう注意が必要です。
- 年末調整計算が無料でできるアプリはある？
- スマートフォンのアプリストアで「年末調整計算」と検索すると、無料の計算アプリがいくつか見つかります。これらのアプリは、給与総額や扶養控除、生命保険料控除などの情報を入力するだけで、年末調整における還付税額を簡単に試算できるようになっています。
ただし、これらの計算アプリは、あくまでも概算の計算用ツールです。実際の年末調整手続きで必要となる控除申告書の作成や提出には対応していないため、正式な年末調整業務には使用できません。
会社に提出する控除申告書の作成には、国税庁が提供する「年調ソフト」や、民間企業の年末調整システムを利用するのが望ましいでしょう。特に「年調ソフト」は、マイナポータルとの連携機能も備えており、保険料控除証明書などの情報を自動で取得できる便利な仕組みを採用しています。
年末調整システムは無料プラン・無料トライアルから使ってみよう
年末調整システムの無料プランは、企業規模や必要な機能に応じて選択肢が豊富に用意されています。完全無料で利用できるHRMOS年末調整は、申告書の作成から回収までオンラインで完結でき、初めて電子化に取り組む企業に最適です。
一方、マネーフォワード クラウド年末調整やオフィスステーション年末調整などの無料トライアルがあるシステムは、高度な機能や外部連携が必要な企業向けです。また、国税庁が提供する年調ソフトは、コストを抑えながら基本的な年末調整業務を電子化したい企業の選択肢となります。
システム選びでは、従業員数の制限や利用可能期間、サポート体制などを総合的に検討することが重要です。まずは無料プランやトライアル期間を活用して実際の使い勝手を確認し、自社に合ったシステムを見つけることをおすすめします。
